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所在地 香港 新界青衣島~九龍昴船洲 発注者 中華人民共和国香港特別行政区政府路政署 設計 Ove Arup & Partners Hong Kong Ltd 竣工 2009年10月(予定) 構造・規模 橋長1,596m(主径間1,018m/側径間578m)、主塔2基・高さ298m


- 急激な経済成長の波にのり大規模なインフラ整備が続く中国。その南の玄関口である香港に、2009年秋、世界最大級の橋が誕生する。それがストーンカッターズ橋だ。ストーンカッターズ橋は、香港一のコンテナ地区として知られる昴船洲(ストーンカッターズ島)と青衣島(チンイ島)を結び、基幹道路として流通の効率をより高めることを目的としている。それと同時に、香港国際空港と都心部をつなぐ8号幹線道路プロジェクトのルートにも指定されているため、香港全体の新たな社会基盤となることも期待されているんだ。ストーンカッターズ橋が街の新たなランドマークとなる日もそう遠くないんだよ。

- ストーンカッターズ橋は斜張橋(しゃちょうきょう)と呼ばれる形の橋で、主塔の左右から伸びるケーブルが、やじろべえのようにバランスを保ちながら橋桁(はしげた)を吊る構造となっている。橋桁は片側3車線の道路となっており、上り用、下り用と2本の橋桁が並行して架かっている。これは余分な橋桁スペースを排除することで、橋全体を軽量化する狙いがあるんだ。橋桁の全長は1,596m、2本の主塔の間の長さ(中央径間という)は1,018mにもなり、これは日本の本四連絡橋のひとつである多々良大橋の890mを抜いて、斜張橋では世界第2位の長さとなる予定なんだ。

- 斜張橋は、一般的な吊り橋がメインケーブルから垂らしたハンガーロープで橋桁を吊っているのとは異なり、主塔から放射状に伸びたケーブルが橋桁を直接つないで吊っている。そのため塔の高さは必然的に高くなり、ストーンカッターズ橋の東西両岸にそびえる主塔は298mにもなる。この2本の主塔を支えるために、地中に直径2.8m、長さ70m以上にもなるコンクリート製の杭が何十本もある基礎工が必要となるんだけど、これが大変な難工事となったんだ。

- 東側の主塔は、水際からわずか7mのところに、50×40×12mの大規模な地盤の掘削作業を行わなければならず、掘削が進むにつれて、海水の湧水量が日に日に増加して、想定以上になると予見したんだ。そこで掘削作業と平行して掘削ゾーン内に急遽、深井戸を増設することで強制的に水位を低下させることが出来たんだ。こうした現場の機転が、結果的には湧水による工事中断のリスクの回避につながり、なんとか基礎工を終了させることができたんだ。

- 中央径間の橋桁は、張り出しながら造っていく工法を採用したことから、より安定している主塔より外側の橋桁(側径間)を先に造り、主塔を介して側径間の橋桁でバランスをとりながら中央径間の橋桁ブロックを吊る手順をとり台風などの影響を受けにくいようにした。まずは地上に架かる側径間のうち、コンクリート製となる239mの橋桁を架設。この工事には、「支保工(しほこう)」と呼ばれる仮設の作業場を、橋桁の架かる60mの高さにまで設置。そこへ地上からポンプ圧送されたコンクリートを打設していったんだ。支保工は、主塔からのケーブルが橋桁に設置された後に解体されるんだけど、これほど大規模な支保工での工事は、世界的にも珍しいことなんだ。

- まず陸上部の鋼桁を架設する作業は「へビーリフト工法」が採用された。これは支保工を使ったコンクリート側径間と違い、最初に地上部で超重量級の橋桁を製作。これをジャッキによって吊り上げて架設するというもので、大幅に仮設鋼材が削減できるうえに高所作業も軽減できる、経済性、安全性に富んだ工法なんだ。ストーンカッターズ橋では、長さ88mの橋桁が、主塔に装着された20基のジャッキによって吊り上げられ、コンクリート製の側径間部と接合。その後は海上船で、随時分割された中央径間部の橋桁が搬送され、吊り上げと接合を繰り返しながら、中央径間が形成されていったんだ。

- 主塔上部175~293mの部分は、外側を20mm厚のステンレススティール板で覆われた鉄筋コンクリート複合構造物となっている。これは普通の炭素鋼でも構造上問題はないんだけれど、この橋を香港のランドマークにしようとする造り手の気持ちを汲んで、特徴ある美観の橋にしようと設計されたためなんだ。また主塔の最上段部には、高さ5mのガラス製建屋を載せて、その中に照明設備を設置する予定にもなっているんだ。

- ストーンカッターズ大橋の工事では、環境保全の一環として、「4Rシステム(Reduce:削減、Reuse:再利用、Recovery:再生、Recycle:資源再利用)」を実施している。これは建設物廃棄物の現場からの排出を抑制し、最終的には「廃棄物ゼロ」を目標とするもので、具体的には、側径間の架設で建造された支保工のコンクリートブロックを、解体した後も廃棄物とせずに海中に投下して、人口漁礁として再利用することが決まっているんだ。